日本企業が海外で経済活動を行い売上があった場合、税金は日本での売上と海外での売上を足したものに対して課税します。
一方、海外で経済活動を行った現地でも現地の売上分に対して課税をします。
しかし、そうなると日本と現地の両方で課税を行う事となり「二重課税」となってしまいます。
そこで、二重課税を排除する為に「外国税額控除」という方式を使用し、
一定の限度額の中で所得税や法人税から控除する制度があります。
「直接税額控除」「間接税額控除」「みなし外国税控除」の三種類があります。
日本の法人自らが外国に対して税金を納めた場合、日本国内で課税される所得税から納付した金額を控除できる制度で、
利子や配当も国外で課せられていた場合も控除対象となります。
ただし、支払った税金全額を控除できるわけではなく、下記の計算方法によって限度額が定められています。
【当期所得税 × 当期国外所得総額 / 当期所得総額 = 外国税控除限度額】
なお、法人住民税についても一定の控除が出来ます。
また、控除対象は原則として日本の法人税・所得税のようにその国によって標準で所得に対して課せられている税金を指します。
この制度は主に外国に支店を置いている場合に認められています。
外国に子会社がある場合、その子会社から利益配当や剰余金の分配額があった際、その配当額にかかる税金を子会社が払ったとみなして、以下の計算式によって法人税から控除する事ができます。
【外国子会社の法人税額 × 日本法人に対する配当金等の額 / (外国子会社の所得金額 – 外国子会社の法人税額) = 間接税額控除額】
以下に掲げる割合のいずれかが25%以上、
かつ配当等の支払い義務が確定する日以前6ヶ月以上継続している場合とされます。
なお、租税条約によってこの比率は変更する場合があります(アメリカ10%、フランス15%など)
配当にかかる税金も、以下の計算式1及び2のうち金額の小さいほうを控除できます。
この制度は主に外国に子会社を置いている場合に認められています。
タックス・スペアリング・クレジットとも言い、開発途上国は自国の経済発展促進の為、外国企業に対し税制を優遇している場合があります。その優遇された法人税分は税金を支払ったとみなして控除する事ができます。
現在、日本の租税条約でみなし外国税控除を規定している国は以下の通りです。
しかし、今後このみなし外国税控除は縮小または廃止など見直しも進んでいるので注意が必要です。